不動産投資を始める前に理解すべき3つの「ゲームのルール」の三つ目です。
この記事で伝えたいこと
- 【ルール 1】銀行と、不動産会社と、自分の3者で獲りあうゲームである
- 【ルール 2】時間を味方につけて、不動産「資産」を創るゲームである
- 【ルール 3】手元資金ではなく、社会的信用力を使って始めるゲームである
このうちのルール 3について、説明します。
ルール 2で少し触れたように、区分投資では、銀行が区分の購入費用の全額を融資してくれます。株式投資やFXなどを始めるからと言っても銀行がお金を貸してくれることなどありませんが、区分投資であればお金を貸してくれるどころか、購入費用の全額を融資してくれるのですから、これは投資家にとって本当にありがたい話です。
もちろん銀行はボランティアでお金を貸しているわけではありませんから、融資を受けるにはいくつかの条件を満たす必要はあります。
例えば、どんな区分でも全額融資してくれるとは限りません。私たち投資家が購入する区分は、融資額を返済するまでの間、銀行が第一位の抵当権を設定します。つまり担保で、投資家が返済できなくなった時にはこの区分の所有権が銀行に移ることになります。
これがあるからこそ銀行は最大全額まで融資してくれるわけですが、全額融資を受けるには担保として優秀な区分であると銀行に判断される必要があります。
古い、場所が悪い、など何らかの理由で人が入りにくい区分は資産価値が低いと判断され、全額融資は受けられないかもしれません。一方、新しい、駅近などの理由で入居者が絶えることもなく家賃も十分確保できる区分であれば、その資産価値は高いと判断されて全額融資を受けやすくなるでしょう。
このように区分の資産価値の大小は、全額融資を受けられるか受けられないかに大きな影響を持っています。
そして、融資を受ける私たち投資家の質の良し悪しも、全額融資を受ける上で大変重要な要素です。
信用力とは何か
これは投資家としての腕の良し悪しではありません。銀行が見るのは、その人の返済能力です。自営業で小さなお店をやっておられる方やフリーランスの個人事業主として仕事を請けているような方と、一般の会社に勤めているサラリーマン/OLの方とでは、後者の方が返済能力が高いと判断されます。
会社勤めであれば毎月決まった額の給与が入ってくることが期待されますから、銀行からすると返済に滞りが生じにくいと見えます。一方、自営業や個人事業主の場合には、開業して長年やっている医者とか、顧客がたくさんついて安定した収益を上げ続けている士業の方などは別にして、銀行からすると安定した毎月の収入に疑問詞が付きやすいのです。
また、同じ会社勤めの方どうしでも、勤続年数が長い方の方が融資を受けやすくなる傾向もあります。これも銀行から見た時に、「長く勤めている方の方が退職しにくいだろうから返済能力が高い」と見えるのかもしれません。
こうした銀行から見たときの投資家の質が「社会的信用力」です。これが高ければ高いほど、全額融資を受けやすくなるのです。
この私たち投資家の信用力を使って、区分購入に必要な費用の全額を銀行から融資してもらえるという点が、区分投資のキモでしょう。
株式投資やFX、投資信託など、他のいわゆるペーパー投資では始めるための手元資金を自己資金で用意する必要がありますが、区分投資では信用力されあれば、自分の手元資金を使うことなく投資を始められます。
たまに「社畜」という言葉を耳にします。会社にコキ使われている状態を自虐的に表現したものだと思いますが、少なくとも毎月の給与が担保されている状態にあるというのは、区分投資的にはとても素晴らしい社会的信用力をお持ちだということです。
私のところに相談に来られる方の中にも自分を社畜だと半ば冗談で言われる方がいらっしゃいますが、そういう方には「せっかく手にしているその状態を活かすことを考えてみてはいかがでしょうか?」とアドバイスするようにしています。
区分投資にも手元資金を入れるべき?
「銀行から全額融資を受けて始めるのだ」と書きましたが、もちろん区分購入費用に自分の資金を投入することもできます。
銀行融資額が少なくなれば、その分返済時期を早めるか、毎月の返済額を減らしてキャッシュフローを改善させることができます。不動産が好きでたまらない、という方の中には自己資金をどんどん区分などの不動産に変えていかれる方もいらっしゃいますから、これはこれで一つの選択肢だと思います。
このあたりは人による価値観の違いに依るので一概に「こうすべき」という話ではありませんよね。ただ、個人的にはですが、仮に手元資金があるのであれば、それは手元資金がなければ始められない種類の投資(株式、投資信託など)に回し、区分投資は自分の信用力で始める方が、自分の持っているリソースの有効活用という意味でも、投資ポートフォリオに多様性を持たせるという意味でも良いのではないかな、と考えています。
ルール 2で触れたように、区分投資は短期収益を目指す投資ではありません。何十年という長い時間をかけて資産を構築していくものです。また流動性が低く、仮に売却して現金化したい場合に、現金化まで数週間から数ヶ月を要するという特徴もあります。
一方で、より短い時間である程度の運用を目指す資産を持つことも重要でしょう。人生の中では急に現金が必要になる場面に出くわすこともありますから、流動性の高い投資資産であることも要件です。
こうした目的のためには区分投資は不向きで、株式や投資信託などのペーパー投資が適しています。手元に余剰現金があるのであれば、こうした手元資金がないと始められない投資に向けた方が良いのではないでしょうか。
なにせ、せっかく銀行が全額融資すると言ってくれているのですから、使わない手はないと思います。
ポートフォリオの観点から見た区分投資についての話はまた別の機会に書きたいと思いますが、ともかく、「手元資金ではなく信用力を使って始められる投資」であることは区分投資の最大の特徴の一つです。
上で述べたようにサラリーマンやOLといった会社勤めの方との相性が良いので、本人が興味を持つのであればやらない手はないでしょう。信用力を使って全額融資をうけ、手元資金を使わずに始めるのです。
ゲームのルールの①と②はこちらです。
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